解決事例

2024/12/05解決事例

追突事故で3か月通院したものの、相手方保険が治療費の負担を一部拒否。自賠責保険でも認定されず、訴訟提起した結果、当方の請求額をほぼ認める勝訴的和解が成立しました

【事案の概要】

依頼者は信号停止中に後方から追突され、病院で診察を受けた結果、頚椎捻挫と診断されましたが、仕事の都合で事故から半月後に整形外科に転院しました。

整形外科では頚椎捻挫のほかに、両肩関節捻挫、外傷性頚肩腕症候群等も診断され、医師の紹介で整骨院治療も併用することとなりましたが、相手方保険は、治療終了後になって、「当初の病院では頚椎捻挫しか診断されていない。事故から半月後に症状が広がっており、事故との関連はない」として、頚椎捻挫以外の病名に関する診療代、施術料の支払いを拒否しました。

そこで、相手方の自賠責保険に被害者請求を行いましたが、自賠責保険においても、整形外科・整骨院での頚椎捻挫以外の両肩関節部に関する治療・施術は、相当因果関係がないと判断され、慰謝料も低額な認定しかされませんでした。

最後の手段として、訴訟提起によって解決を図ることとしましたが、相手方は、事故当初は両肩の症状について病院で何ら訴えていないのに、事故から半月経った整形外科で初めて両肩の症状を訴えているのは不自然と言わざるをえず、事故との関連はないと主張しました。

当方からは、依頼者の病院のカルテの内容を丹念に検討し、事故から9日後に「振り返ると痛い 頭痛あり」との記載もあることから、頚部から肩にかけての痛みが増していること等を指摘したほか、症状経過に関する依頼者の詳細な陳述書を提出しました。

その結果、裁判所より、両肩の症状をふくめた全ての治療費・施術費が本件事故によるものとみて不自然はないとの判断のもと、当方の請求する治療費・施術費全額と、通院3か月を前提とする裁判所基準の慰謝料全額の支払いを認める勝訴的和解案が示され、和解が成立しました。

【コメント】

交通事故に遭い、当初はそれほど痛みを感じていなかったものの、頚部の痛み、頭痛、腰部の痛み等、徐々に症状が拡がっていくケースがあることは、交通事故を扱う弁護士としてよく経験するところです。

ところが、保険会社は往々にして、事故当初から時間が経って症状が増すと、「事故との因果関係がないから治療費の負担には応じられない」と主張することがあります。本件では、治療が終わり治療費や施術費の請求書が届いた後になって、相手方保険が一部支払いを拒否したため、依頼者は大変困惑されました。本来であれば、自賠責保険において正当に判断されるべきところ、自賠責保険も当方の請求を認めなかったことから、やむを得ず、訴訟提起によって解決を図らざるを得なくなりました。

訴訟では、裁判所の判断を仰ぐべく、カルテの詳細な検討、主張や陳述書による詳細な説明を行う必要がありましたが、ほぼ当方の請求額どおりの勝訴的和解を勝ち取ることができました。裁判所は自賠責の判断に拘束されるものではないので、最後は訴訟によって、正当な賠償を得る道があることを再認識いたしました。

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