遺産相続

遺産相続でよくあるご相談

「遺産を相続することになったが、どう手続きを進めてよいかわからない」
「亡くなった父親から、兄が生前に多くの財産をもらっていた」
「亡くなった後、多額の借金をしていることがわかり、困っている」
「自分が亡くなった後、揉めないように遺言書を作成しておきたい」

遺産の多寡に関わらず、
相続問題はどの家庭でも起こりうる問題です

相続問題は、一生に一度はどなたでも直面する出来事です。
遺産にはプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産も含まれます。
故人が遺言書を残していれば、スムーズに手続きが進む可能性が高まりますが、ない場合は相続人の間で揉めてトラブルになるケースも多くあります。
法律の専門家である弁護士が第三者として間に入ることで、相続された方の負担を軽減し、大きなトラブルに発展しないうちに解決を目指すことができます。

相続開始後に行うべきこと

遺言の有無の確認

相続は遺言があるかどうかで、その後の手続きの流れが変わるので、まずは遺言書の有無を確認してください。
自宅に遺言書が見つからなかった場合でも、公正証書遺言が作成されている可能性もあります。
お近くの公証役場で、公正証書遺言があるか照会をしてみてください。

また、自筆証書遺言について、紛失や改ざんを防ぐために、令和2年7月より法務局が本人に代わって保管することができる制度が開始しました。この制度を利用している場合には、相続人が法務局に問い合わせることで遺言の存在が分かる場合もあります。
更に、本人が希望すれば、亡くなった後に法務局から相続人等に遺言書の保管を通知することも可能になりました(この通知は令和3年度以降に運用開始となる見込みです。)。

遺言書がある場合

遺言書に従って相続が行われます。
しかし、遺言書が見つかった場合でも、自筆証書遺言はすぐに開封することはできません。
封印のある遺言書を開封するためには、家庭裁判所で検認という手続きが必要になります。家庭裁判所以外の場所で遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料が科せられる場合がありますので、ご注意ください。
なお、法務局で保管されていた自筆証書遺言の場合には、検認は不要です。

遺言書がない場合

遺言書が見つからなかった場合は、法定相続人が遺産分割協議で遺産の帰属を決めることになります。
その準備のために、相続人調査や遺産調査を行います。

遺産相続に関わる手続内容

遺産分割協議

遺言書がない場合は、法定相続人が全員集まって、遺産分割協議を行います。
遺産分割は、相続人全員が合意すれば、法定相続分に従わなくてもいいのですが、合意できなかった場合は、家庭裁判所による調停での話し合いをして、合意を目指します。
調停でも合意できなかった場合は、家庭裁判所による審判により、分割内容が決定されます。

遺言書がある場合で、その内容に相続人全員が合意できたときには、遺産分割協議は必要ありません。ただし、遺言書で遺留分が侵害されていたときには、遺留分侵害額請求をする場合があります。

遺留分侵害額請求

一定の相続人には、被相続人の財産に対して最低限の取り分が保証されており、これを遺留分といいます。

不平等な遺言や生前贈与によって、遺留分を侵害された相続人は、侵害した人へ遺留分に相当する金額を支払うよう請求できます。
例えば、「長男にすべての遺産を相続させる」という遺言が残されていたとしても、次男や長女が長男に遺留分侵害額請求をすることで、最低限の遺留分が取り戻せます。
この請求は、自分の遺留分が侵害されたことを知った日から1年以内に行う必要があります。

相続放棄

相続する財産の中で、借金などのマイナスの財産が多い場合は、相続放棄を検討する必要があります。
この手続きは、自分に相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述をしなければなりません。3ヶ月を経過すると、相続を承認したものとみなされます。知らないうちに多額の負債を背負ってしまうことになりかねないので、気をつけてください。

相続税等の申告

遺産相続により取得した財産の合計額が相続税の基礎控除額を超える場合、相続人には相続税の申告・納税を行う義務が発生します。
これは、相続の開始を知った日から10ヶ月以内に行わなければなりません。口座解約の手続きや関係者全員の戸籍調査、遺産分割の協議等、相続手続きはやるべきことが多いので、申告期限を過ぎないように注意する必要があります。

遺言書の作成

遺言書を作成しておくことで、自分が亡くなった後、紛争になることを防ぐことができます。
あなたが亡くなり、配偶者との間に子どもがおらず、両親もすでに亡くなっているケースでは、遺言書がなければ配偶者とあなたのきょうだいが相続することになります。全財産を配偶者だけに相続させるためには遺言書を作成する必要があります。

遺言書を作成する場合、まずは相続する財産(現金や預貯金、不動産、株式、自動車など)を調べて、その財産を誰にどれくらいの割合で相続させるのかを決めてゆきます。

遺言書には、代表的なものとして「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言は、簡単に作成できて証人も不要ですが、遺産の目録以外は全文ご自分で手書きする必要があり、訂正方法にも決まりがあります。表現や内容などで遺言が無効になる、紛失や発見されないおそれがあるなどの問題もあります。
そこで、前記のとおり令和2年7月より法務局が本人に代わって保管することができる制度が開始しました。

公正証書遺言は、法務大臣から任命された公証人が遺言の内容を聞き取り、書面に作成する方式です。公証役場で保管されるので、紛失や変造のおそれもない、もっとも安心で確実な遺言の方法です。
なお、作成には証人2人を立てなければならず、遺産内容に応じて一定の費用がかかります。

当事務所では、遺言作成に関する公証人との事前調整、戸籍等の必要書類の取り寄せ、公正証書作成日当日の証人立ち合いも行っております。

遺言執行

遺言にはその内容を実現するのに、相続分の指定や遺産分割の禁止のように執行を必要としないものもありますが、子の認知、遺贈、推定相続人の排除など、遺言の内容を実現する行為が必要なものがあります。
この遺言内容を実現する行為が「遺言執行」で、遺言執行を行うことを委託された人を遺言執行者といいます。
遺言で遺言執行者を選任しておけば、その内容は確実に執行されることになります。
遺言執行者は、遺言作成に関与した弁護士などを選んでおくことをおすすめします。

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