2024/12/19解決事例
下肢の短縮障害にて後遺障害13級の認定。過失割合を除いて当方の主張に沿う逸失利益、慰謝料等を認める示談が成立しました
【事案の概要】
依頼者(中学生)は自転車で走行中、対向車と衝突し、左大腿骨遠位端骨折、顔面打撲等で救急搬送され、大腿骨に鋼線を刺し入れる緊急手術が行われました。その後、入院しながらリハビリを始め、途中で抜ピンがされて約2か月後に退院し、以後通院してリハビリを継続しました。
事故から約1年後に治療中止となりましたが、その後運動時に疲れやすいとの訴えがあったため、画像検査をした結果、左下肢が1.5センチほど短縮していることが判明しました。これを受けて、自賠責保険に後遺障害の事前認定を申請した結果、「1下肢を1センチメートル以上短縮したもの」として後遺障害等級13級8号が認定されました。
そこで、弁護士が相手方保険と示談交渉をした結果、過失割合については双方の主張に差があったものの、67歳までの全年齢平均賃金による逸失利益や、13級相当の裁判所基準の慰謝料、入通院付添看護料等を前提とした金額での示談が成立しました
【コメント】
事故により下肢に短縮が生じた場合、自賠責保険では1下肢を5センチメートル以上短縮すると8級、3センチメートル以上短縮すると10級、1センチメートル以上短縮すると13級の後遺障害が認定されています。本件では、事故により大腿骨に鋼線を刺し入れたため、成長の過程で骨の成長に左右差が出たものと思われます。
下肢短縮においては、短縮の程度が少なく、歩行障害が見られない場合や、職業がデスクワーク中心の事務職のように肉体的活動を伴わない場合、自賠責の基準よりも低い労働能力喪失率が認められる場合もあるとされています。しかし、本件では、被害者が成長発達途中の未成年者であったことから、将来の影響度を予測することは困難であり、自賠責の基準どおりの認定となりました。