2023/05/26解決事例
耳鳴症にて後遺障害12級相当の等級認定。裁判で12級を前提とする逸失利益・慰謝料を認める和解を勝ち取りました
【事案の概要】
依頼者は追突事故に遭い、頚部痛等の傷害を負ったほか、事故後3週間ほどして耳鳴、難聴の症状を自覚するようになりました。半年後に症状固定となり、整形外科や耳鼻咽喉科から後遺障害診断書を作成してもらって自賠責保険に被害者請求をした結果、「局部に神経症状を残すもの」として14級9号、「耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるもの」として12級相当、両者の併合12級が認定されました。
訴訟では12級を前提とした後遺障害逸失利益・慰謝料を請求しましたが、相手方は、本件事故の当初から耳鳴の症状が生じていないため耳鳴症と事故との因果関係はないとして、当方の主張を争いました。
当方からは、事故当初は頚部等の痛みに意識が集中していたが、それが落ち着くにつれて耳鳴症状を自覚するようになったとの依頼者の陳述書や、そのような事情がカルテに記載されていた部分を詳細に引用したほか、主治医に対して医学的見解を質問し得られた回答書を証拠提出して反論しました。
その結果、裁判所より、事故と耳鳴症との因果関係を認める前提に立った逸失利益・慰謝料をふくめた和解案が示され、和解が成立しました。
【コメント】
耳鳴症は自賠責保険の後遺障害等級表に記載はありませんが、等級表の後遺障害に相当するものとして12級相当の評価がされています。ただし、評価に際しては耳鼻咽喉科における耳鳴検査において耳鳴の存在が認められることが前提です。
相手方は、耳鼻咽喉科にて診察を受けたのが事故後3週間経過していたことをとらえて事故との因果関係を争いましたが、事故直後は体の痛みに意識が集中し、耳鳴や難聴は事故後しばらくしてから「そういえば・・・」と気付くこともあります。そのような場合でもきちんと検査を受けて症状が確認できれば、後遺障害の等級認定がされるケースがあります。
本件でも比較的早期に耳鼻咽喉科で検査を受けた結果、後遺障害が認定されましたが、初診がもっと遅ければ違う結果となった可能性もあります。事故に遭った際は、少しでも違和感があれば早期に検査を受けるのがベターです。