解決事例

2021/10/06解決事例

高齢男性の交通事故で、家事従事者としての休業損害・逸失利益を認める和解が成立しました(後遺障害12級)

【事案の概要】

依頼者は高齢男性でしたが、自転車で買い物に行く途中に事故に遭い、脛骨骨折等で入院。

リハビリ後も膝関節が十分に曲がらず、自賠責保険に等級申請をしたところ、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として後遺障害等級12級7号が認定されました。

その後相手方保険会社と交渉しましたが、金額面での開きが大きかったため、訴訟提起により解決を図ることとしました。

訴訟では、相手方保険は、依頼者のほかに家族がいるので休業損害や逸失利益を100パーセント算定するべきではないと主張。これに対し、家族の中で依頼者が家事全般を行っている事情を陳述書で説明したほか、これを裏付ける証拠も提出しました。

その結果、裁判所より、女性労働者の全年齢平均賃金の75パーセントを基礎収入とする休業損害、逸失利益を認める和解案が提示され、慰謝料等もふくめて示談交渉での保険会社提示額を約150万円上回る和解が成立しました。

【コメント】

家庭の主婦が交通事故に遭った場合、女性労働者の全年齢平均賃金を基礎とした休業損害を認めるのが裁判所の見解ですが、男性が家事に従事している場合にも、同様に休業損害が認められます。

ただし、その場合でも具体的にどのような家事に従事しているのか、他の家族が家事に従事できない事情等を、詳細に主張・立証する必要があります。

なお、男性の家事従事者の場合でも、女性労働者の平均賃金を上回る認定はなされていませんし、高齢の場合には、年齢別の平均賃金等に減額して認定されることが多いです。

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