2021/09/09解決事例
高次脳機能障害にて後遺障害5級。将来介護費を認める示談を成立させました
【事案の概要】
依頼者は原付バイクを運転中に信号機のない交差点で出合い頭事故に遭い、外傷性くも膜下出血等の頭部損傷の傷害を負いました。
入院後にリハビリを行ったものの、記憶力の低下や注意障害が見られたため、症状固定を待って、弁護士が主治医に後遺障害診断書や医学的意見書の作成を依頼しました。
自賠責保険に等級申請をしたところ、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として後遺障害等級5級2号が認定されました。
その後、相手方保険会社と示談交渉を行い、後遺障害に関して逸失利益、慰謝料のほかに将来介護費用を請求。家族からの聴き取りをもとに日常生活に関する詳細な報告書を作成し、交渉を続けた結果、日額2500円を前提とした将来介護費の支払に相手方保険が応じることとなり、示談が成立しました。
【コメント】
高次脳機能障害の事案においては、逸失利益、慰謝料のほかに、将来介護費が認められるかどうかが争点になります。自賠責保険では、1級、2級の事案は介護を必要とする後遺障害と明示していますが、3級以下の事案では、裁判例も認めるケースと認めないケースに分かれています。
本件では、日常生活動作(ADL)に関する詳細な報告書を保険会社に提出して交渉した結果、裁判を経ずに5級で日額2500円という比較的高額な将来介護費を得ることができました。
また、本件では事故に関する記憶を依頼者が喪失しており、目撃者もいなかったのですが、現場付近の事業所に防犯カメラがあり、調査の結果、事故当時の映像が残っていることが判明しました。速やかに防犯カメラの画像を弁護士が入手できたことで、過失割合に関しても当方の有利に主張することができました。
高次脳機能障害の事案では、いかに医療機関からの協力を取り付けるかが重要なポイントになります。経験の豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。