2021/06/22解決事例
進路変更車と直進車の接触事故について、判決で直進車の無過失の認定を勝ち取りました
【事案の概要】
依頼者が片側2車線の第一通行帯を走行中、右側の第二通行帯を走行してきた相手車両が速度を上げ、第一通行帯に進路変更しようとして依頼者の運転車両に接触しました。
依頼者は相手方の100パーセント過失を主張しましたが、相手方保険会社は車線変更中の事故であるから、過失割合は依頼者30、相手方70との回答でした。
納得がゆかない依頼者は訴訟を提起し、裁判では弁護士が事故現場の写真撮影報告書や詳細な図面を証拠提出するとともに、相手方運転手に事故状況を詳細に尋問しました。
その結果、判決は、相手方運転手は進路変更の際、左前方に位置していた依頼者の車両の状況を確認していないこと、他方で依頼者が相手方車両に気付いた時点で衝突の予見可能性、回避可能性がなかったものと認定。相手方100パーセントの過失を前提に、当方主張の車両修理代、弁護士費用満額の支払を命じました。
【コメント】
前方にいる車両が進路変更した場合に、それより速度の速い後続直進車と接触して事故になるケースはよくあります。この場合の過失割合は、後続直進車30、進路変更車70が基本とされています。
ところが、本件事案は前方にいる直進車に、後方から速度を上げていた進路変更車が接触した事故であり、前方の直進車としては衝突を避けようがなかったものです。
「走行中の車両どうしの事故では、過失割合は0対100にはならない」と言われることが多いですが、具体的な事故状況をふまえて、ていねいに立証活動を展開すれば、本件のような勝訴を導くことも不可能ではありません。相手方保険の主張に納得がゆかない場合には、訴訟を躊躇すべきではないでしょう。